2018年5月11日金曜日

ミセスは未定(仮)。その11。


ひと月程ぶりにお会いした谷崎さんとのミーティングプレイスは、何故かラーメン屋さんでした。

「とりあえず、ランチミーティングをしながら気持ちをぶつけ合おうか」

お会いする前日に谷崎さんから頂いたラインには、ビジネス用語っぽい言葉で含みをもたせているけれど、よく見たらあれなんか軽い…?と感じる文面が並んでいました。 ただ私が歪んでいただけかもしれませんが、この時私は、決死の覚悟で谷崎さんに想いを伝え、挑もうと決めた私の固い感情を転倒させる程、谷崎さんのメッセージには厚みがないなと思ってしまい、肩透かしを食らった気がしました。

いやいや、そんなことはない。谷崎さんは、至って真剣にラインをくれたわけだし、横文字をナチュラルに言ってきたのは、普段仕事で使っているからで…。おそらくねじ曲がった私が深読みしすぎなんだろうな、と思った直後。

「ミーティングプレイスは、例のラーメン屋さんで!」

…このメッセージで私は、谷崎さんと私の間に広がる温度差を感じました。

私には例のラーメン屋さんが数軒ありますが、私と谷崎さんの間には、お互い、共通の認識である例のラーメン屋さんはありません。

一体例のラーメン屋さんって何…?状態で、私は谷崎さんに例のラーメン屋さんについての詳細を伺い、何とか当日、例のラーメン屋さんで、谷崎さんにお会いすることができました。ちなみに谷崎さんがおっしゃる例のラーメン屋さんは、以前少しだけ会話の中に登場したものの、私の記憶からはまるで抜け落ちていた、いつまでも昔ながらの風貌を保ちながら、煮干し系オンリーで活動しているラーメン屋さんのことでした。

「元気だった?チャーハンつける?それともごはん?」
「はい、元気です。谷崎さんは、お元気でしたか?ごはんでお願いします」
「元気元気!仕事は相変わらず忙しくて大変だけど、まあそれは皆同じだしね。餃子は?」
「お元気そうで何よりです。餃子もお願いします」

お前ら…ふざけているのか?と叱責を頂くのは重々承知ですが、スタートはこんな感じで幕を開けました。私は本当に真剣に深刻に挑んでいたわけで、正直ラーメンをすする余裕なんて微塵もなかったのですが、なんやかんやでラーメン界の三種の神器である、ラーメンライス餃子を胃袋に収めてしまいました。

「今日はふみよちゃんの不安や心配を取り除くために、真剣に話し合おう。でもその前に食べよう」
「はい…」
「前も言ったけど、誰もふみよちゃんに我が家の宗教を強要しないよ。俺もそのつもりない」
「谷崎さんの言葉を嘘だとは思っていません。ですが私が宗教に対していい印象を持っていないのは事実で、」
「それはわかる」
「自分が知らない間に一員になっているのではないか、私の家族に何か影響があるのではないか…そういった不安があります」

谷崎さんに私の今思っている考えや不安などを伝えた所、どうやら谷崎さんは私の出方を予測されていたようで、「そう言うと思った」と特段態度に変化はなく、至極冷静でした。谷崎さんは「心配事を無くせるように話し合おう」と言ってくださったのですが、私の勘違いかもしれませんが、その口調がどこか余裕を感じました。まるで、私が問題だと思っている事が、全く問題ではない、という落ち着き。それが私を、ますます不安にさせました。

「ところでお母さんから手紙届いた?お母さんがふみよちゃんに手紙出したって言ってたけど」
「はい…すみません、まだ読んでいなくて」
「うん。読むのは、気持ちが落ち着いた時でいいからね」

 谷崎さんが箸を置き、私に件の赤紙を告げました。

「あのさ、今度の休み、俺の実家に来てくれない?お母さんがふみよちゃんに来て欲しいって」

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