2018年4月2日月曜日

トライアルで、TANIZAKI。その6。


自身の中に渦巻く、偏見に満ちたドス黒さを、目の当たりにしました。

新興宗教。

谷崎さんから、「谷崎家は、新興宗教を信仰している」と打ち明けられた私は、どうしても激しく胸を揺さぶる動揺を、抑えきれませんでした。言葉を繋ぐにも、一体何を口にすれば良いのかわからなくて、ただただ突っ立っている自分がいました。

重苦しい沈黙の中、まるで足に根が生えたように動けず呆然としながら、私は、己の中に潜む歪んだ視野を、ひしひしと感じていました。尊い存在である神仏を敬う信仰心を怖いと思うなんて、本当に私は人としてどうかしていると思いますが、自分とは縁遠い姿勢、宗教を崇拝する信心を目にした現実が怖くて、受け入れられなくて、拒絶にも似た負の感情だけが心身を駆け巡っていて。それでも混乱しながらも、頭の中では「ふーん、そうなんだ」と、特に気に留めていないという対応を心がけようと必死でしたが、そう努めようとすればする程、秘めていたうがった物差しが垣間見えてしまい、身動き取れませんでした。

私の思考は、どうしようもない程歪曲した偏見で、蔓延している。

そういえば、谷崎さんのお母様に誘って頂いたハロウィンパーティーで、谷崎さんのお母様のお仲間たちが、谷崎さんのお母様を崇めるような、そんな異様な雰囲気を感じたんだっけ。

谷崎さんに感情のない視線をぶつけられながら、私はそう思い出していました。あの時、ちょっと何かおかしいと思った私の琴線は、勘違いではなくて、警笛だったのかもしれません。

とはいえ。

「今まで黙っていて、ごめん。でもどうしても言い出せなくて」

何故私は谷崎さんに、「宗教なんて、別に特に気にしないです」と笑って言えないの?

「宗教を不快に思っている人が大半だってわかっているから、つい言い出せなくて…」

どうして私は谷崎さんに、「宗教は、関係ありません」とはっきり言えないの?

「本当は言おうと思ってたんだけど、なかなか…」

何で私は、 「谷崎さんを好きな気持ちに、変わりはありません」と堂々と言えないの?

「突然だったので驚いてしまって…。新興宗教のことわからなくて…。少し考えさせてください…」

やっと紡いだ私の言葉は、谷崎さんの表情を曇らせてしまいました。

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