2018年4月19日木曜日

ミセスは未定(仮)。その4。


「兄が落ち込んでいる姿を見るのが耐えられなくて」という言葉に、私は非難されているような気持ちになりました。

「一度兄抜きで、直接ふみよさんとお話がしたいです」

面と向かわずとも電話越しでひしひしと感じる、谷崎さんの妹さんの濁りのない真剣さに、私は声帯を噛みちぎられたかのように声が出ず、追い詰められていました。

そもそも私自身の中で、明確な決断といいますか、気持ちが定まっておらず、情けないですが宙ぶらりんの状態です。唯一はっきりしていることは、私が新興宗教に対していい感情を持っていないこと、何が災いなのかは説明できませんが、私は少なからず新興宗教が怖いと思っていること、私の家族親戚には絶対に迷惑をかけたくないこと。谷崎さんと今後どうしたいのか、どう向き合いたいのか…まだそこまで気持ちが定まっていません。

しかし、これだけはわかります。私の中で答えが不明の今、私は谷崎さんとの連絡を控えています。この音信不通の中、谷崎さんに連絡をするよりも先に、谷崎さんの妹さんと直接お会いして話をするのは、ちょっと違う気がしました。私が一番に誰よりも先に会って話をしなければならないのは、谷崎さんです。その谷崎さん抜きで、谷崎さんの妹さんと直接お会いして話すことは…些か疑問でした。谷崎さんの妹さんに、一方的に捲し立てられると、どうしていいのかわからず、どう返答して良いのか混乱していましたが、「せっかくですが、まずは谷崎さんとお話したいので」と申して、私は谷崎さんの妹さんの提案をやんわりとお断りました。

「それは残念です。でもそれなら早く兄に連絡してあげてくれませんか?」
「はい、わかっています。ですが…」
「兄はふみよさんからの連絡を、待っているんです」
「…」
「私はふみよさんのことを、すごくいい人だなって、初めて会った時にそう思いました。今もそう思っています。ですから、背景ではなく、人柄で判断してくれる人だって、私は信じています」
「…」
「何度も言いますが、新興宗教に入っているからって、本当に変なことはないです。普通の一般的な宗教と何も変わりません」
「…」
「だからふみよさん、大丈夫です。心配しないでください」

畳み掛けられるような説得が、何故か余計に怖く感じ、気付ば脇と背中とスマートフォンを持つ手が、尋常ではないくらい汗でべちょべちょに濡れていました。

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