2018年1月19日金曜日

ハッピーバースデーさえも、許されない。その2。


「誕生日はスルーしてくれ」と言う、谷崎さんの表情に偽りはありませんでした。

当初は、「本当は祝って欲しいけれど、私に何もしていないから、自分だけ祝ってもらうのは悪い」というお気持ちで、谷崎さんは私に、誕生日のスルーを懇願されたのだと思いました。

だとしたら私は、生誕際を盛大に開催したいであろう谷崎さんに対して、大変申し訳ないことをしたな…と、非常に心苦しい思いでいっぱいでした。ですから私は、「私のことは、どうかお気になさらず。谷崎さんのお誕生日をお祝いしたいので、ぜひさせてください」と申し出ました。しかし…

「いや、本当にいいから」
「…」
「本当に誕生日祝おうとか思わなくていいから、本当に」
「でも…」
「俺もふみよちゃんの誕生日しなかったし。今年はお互い誕生日をお祝いしない。それでいくない?本当に、いいから」

谷崎さんの語気は、妙に強気でした。「本当に」を連発しているあたり、マジなヤツです。そして何故そこまで…?と問いたくなる程、谷崎さんの空気は、有無を言わせない、張り詰めた緊張感で満ちていました。

そんな奇妙に刺々しい谷崎さんに、私はそれ以上踏み込むことができず、腑に落ちないながらも「わかりました」と了承しました。すると私が頷いた途端、先ほどまでピリついていた谷崎さんに、一瞬で笑顔が戻りました。何だかちょっと過剰な反応な気がしましたが、その谷崎さんの、一連の差が激しい感情の動きを目にした私は、「きっと谷崎さんは、誕生日が来て年齢を重ねるのが憂鬱なのだな」と、そう納得することにしました。

私もそうですが、女性の中には、年々誕生日を迎えることに、苦しくなる方が多いと思われます。しかしまさか谷崎さんが、そのように年齢に一喜一憂するタイプだとは思わなかったので、少々驚きました。振り返っても、これまで谷崎さんが年齢にピリつく瞬間なんてありませんでした。今思うと、もしかしたら自虐的気味だったのかもしれませんが、以前カフェで隣席だったダンディーなロマンスグレーの紳士を目にして、「あの人かっこいいね。ああいう年の取り方したいな」と尊敬の眼差しでおっしゃっていたので、むしろ年を重ねることを、楽しみにしているのかなと感じておりました。

とはいえ、本当に何もしなくていいのか、悩みどころでした。谷崎さんがスルーを願われている以上、盛大にお祝いするのはアレですが、誕生日を知っている以上、さすがに誕生日当日に何も触れないのは、いかがなものなのでしょうか。誕生日おめでとうメッセージは送ってもいいよね…と思った私は、谷崎さんの誕生日当日に、ささやかなお祝いメッセージを送りました。 すると…

「ありがとう。でもスルーしてって言ったよね?忘れたの?」

そう谷崎さんから、メッセージを頂きました。

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