2017年11月10日金曜日

それはちょっと困ります。その14。


合鍵で愛情をはかるなんて。

「どうしたの急に…そんなにはっきり言うなんて、いつものふみよちゃんじゃないよ」
「いつもの…?」
「そうだよ、いつもニコニコしているのに、今日は変だよ」
「…すみません」
「ふみよちゃんは何でそこまでして合鍵を拒むの?普通恋人から大事な自宅の鍵をもらったら、嬉しくない?」
「…」
「特別なんだなって感じない?」
「…」
「俺はすごい感じるんだけど。お互い特別な存在なんだって実感するよ?ふみよちゃんは?」
「特別…感じますけど…」
「だったら…」
「でも…どうして谷崎さんは合鍵に拘るんですか?お互いを特別だと感じる出来事は、合鍵以外にもたくさんあると思います」
「…」
「私は毎日連絡を取り合っていることで、谷崎さんを特別だと感じていますけど…」
「それはそうだけど、でもそれだけじゃ嫌だよ」
「それで合鍵なんですか?」
「昔の彼女は合鍵喜んでたのに…」
「…だから私は昔の彼女じゃないです」

意識したつもりはなく、普通に言ったつもりでしたが、私の言い方に棘があったのか、谷崎さんがヒュッと息を飲むのがわかりました。その瞬間私は、自分自身に慄き、狼狽えました。

知人や友人とは皆無、家族とはほとんど口論をしたことがなかった私が、谷崎さんにここまで反論しているー。

自分が一番、現状を信じられなくて、受け入れられなくて、そして怖かったです。先日の谷崎さんとの旅行を通して、谷崎さんに言うときは、はっきり言おうと決意しました。それもあって、今回しっかり自分の意志を伝えていますが、私を呆然と見つめる谷崎さんの唖然とした表情を目にして、後悔もしつつありました。私は、谷崎さんを傷つけるような、キツイ言い方をしてしまったのでしょうか。

「キツく言い過ぎてしまって、ごめんなさい」
「…ちょっとお互い頭冷やそうか」

私が谷崎さんを呼び止めようとする前に、谷崎さんは逃げるように我が家から出て行ってしまいました。私は慌てて追いかけようと家を飛び出しましたが、既にエレベーターは動き出しており、谷崎さんはいらっしゃいませんでした。そのまま階段を爆走して一階に向かったものの、時既に遅し。私は家の近所や最寄り駅までの道も、必死で捜索しましたが、谷崎さんの姿はありませんでした。

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