2017年11月4日土曜日

それはちょっと困ります。その12。


今の谷崎さんには、私が発する言葉全てが、起爆剤のようでした。

何でこう突然なのかな…。

谷崎さんを自宅にお招きし、マンションのエレベーターに乗っていた私は、思わずため息をつきそうになりました。けれども、ため息一つでお怒りになりそうな谷崎さんの手前、ぐっと堪えて感情を押し込みました。はるか昔に、15歳の夜は過ぎ去ってしまいましたが、本当に盗んだバイクで夜に逃げ込みたい気持ちでした。しかし37歳の私は、逃げずに立ち向かわなければなりません。幸か不幸か、谷崎さんのアポなし訪問で話し合いの機会を得られたのは確かなので、これを機に修復できるよう頑張らねばと思いました。

谷崎さんをリビングにお招きした後、急いでお茶とお茶菓子の準備をしようと思いましたが、リビングのテーブルに、私の性癖コレクションやレンタルした韓国ドラマが大公開中だったので、まずはそれらを大急ぎで片付けました。その私の一連の行動に冷めた視線を送り続けていた谷崎さんは、ぼそっと、しかし確かに私に届くようなお声で、「やっぱりふみよちゃんって、余裕あるよね…」と呟かれました。

正直、イラッとしました。先ほどから谷崎さんがおっしゃる、「余裕」とは一体何なのでしょうか。

彼氏と険悪になっているにも関わらず、性癖グッズにのめり込んでいた形跡があること?韓国ドラマを観ていた名残りがあること?ジムで汗を流していたこと? 携帯を忘れて外出してしまったこと?お酒を浴びるように飲んでいたこと?

確かに人によっては、「余裕」と解釈されても仕方のないことなのかもしれません。悩んでいると言いながら、趣味を満喫できる元気があるなんて、本当は悩んでいないだろと言われると、反論できません。

「余裕とかではなく、これが私の日常です。ただいつもの日常を過ごしていただけです」

自分でも、本当に可愛げのない物言いだなと思います。これから修復するために話し合いをするというのに、更なる地雷を投げ込むなんて、お前は何してんだよ、とも思います。しかし、イラッとした棘を我慢できませんでした。谷崎さんは、恋人と揉めた場合、何も手につかないことが普通だと、そうおっしゃりたいのでしょうか。

しかし私は、彼氏に悩む乙女ではありますが、何よりも彼氏を優先し、彼氏に翻弄される乙女ではないのです。

「こうは言いたくありませんが、私は何度も何度も話し合いの機会を願い出ました。しかし、それらを拒絶したのは谷崎さんではありませんか?」
「余裕?別に余裕なんてありません。谷崎さんは、私が何も手につかないほど、仕事に行けなくなるほど、趣味に没頭できなくなるほど、悩んでいれば納得されるのですか?」
「谷崎さんとこうなってしまったことで、当然ダメージは受けています。ですが何も変わらない日常を送ることが、私を奮い立たせることに繋がるんです」

「連絡を無視したかと思えば、突然連絡なしに来るのは、ちょっと勝手すぎませんか?」

はっきり言ってしまった自分に、一番私が動揺しましたが、もう後には戻れませんでした。

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