2017年10月8日日曜日

それはちょっと困ります。その3。


どか食い上等で購入したKFCが、冷めてしまいました。

谷崎さんを自宅に招いた私は、コーヒーを用意する傍ら、テーブルの上に置いてあったBL同人誌と乙女CDを急いで撤去し、キッチンの棚に避難させました。そしてどか食いセットを死守…と言いたいところですが、私が食べ物の袋を大量に抱え帰宅したことを、谷崎さんはご存じです。どか食いセットからお菓子をセレクトし、お客様用のお皿セットにセッティング。そして一応傍目には全く問題のないリビングの演出に成功した後、ソファーに座る谷崎さんにコーヒーとお菓子をお出ししました。

「ありがとう、急にきてごめんね。でも会いたくなって」
「いえ大丈夫です」
「本当?なんかふみよちゃん、元気ないね」
「そんなことないです…」

もう、めっっっちゃ眠かったです。夜勤明けだったので、普段以上に思考がぐにゃぐにゃで低下しており、自分を保つのがやっとでした。本来であれば即行でお風呂に入ってどか食いして寝る予定…が、ぶっ飛んでしまった遣る瀬無さ、突然アポなし訪問の谷崎さん、メンテ0戦闘力0の最悪なコンディションの自分…などが、心に引っかかっており、すぐに気持ちを切り替えることができませんでした。同時に、「何で谷崎さんがわざわざ会いに来てくれたのに、嬉しくない自分がいるのだろう。サプライズ訪問をテンション高めに可愛く喜べない私は一体何なの…」と、自分の心の狭さに愕然していました。

「あのさ、お互いの部屋の鍵、持ってた方がいいと思わない?」
「…え?」
「今日みたく突然会いたいなと思った時、鍵あった方がいいと思うんだよね。付き合ってたら合鍵とか普通だし」
「…」
「そうしようよ!」

普通…なの?

これまで男性と交際経験が皆無の私には、合鍵が一般的なのかどうか、検討つきませんでした。確かに「彼氏が合鍵渡す→彼女喜ぶ」的な描写を、何度か媒体で拝見したことがあります。乙女CDでもそういったシチュエーションは珍しくはないですし、むしろ大好きな男性声優さんに「これ俺の家の鍵な」と耳元で吐息交じりで囁かれるシーンは、子宮に激しく突き刺さりますしね。

しかし私は、谷崎さんにそう言われた瞬間、「…それはいやだな」と思う自分がいました。家族以外の誰かが、自分の安寧の場所である我が家の鍵を持っており、いつでも入退出可能と思うと、何だかゾワっとしました。例えそれが、彼氏の谷崎さんであっても。これだけが理由ではありませんが、だから私は結婚できないのかもしれません。彼氏のサプライズ訪問を、嫌だと思うなんて。

自分が招いたり、事前の連絡があれば、いつでも第三者の訪問はかまいません。しかし今日のようにアポなし訪問…は、心臓に悪いと言いますか、私向きではないイベントではありました。 露骨に断ると角が立ちそうだったので、私は「それはもう少し先にしませんか?」 と切り出しました。

「なんで?」

やんわり拒否する私を不審に思われたのか、谷崎さんの声には棘がありました。

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