2017年8月14日月曜日

ラブファンタジーは苦難。その11。


「二人の距離をぐっと縮め、素肌で感じるJUST IN LOVE的な温泉デート」なんて、そんな悠長なこと、言ってる場合じゃなくなりました。

大浴場で20分程、全裸で立ち話を強いられたHP0の私は、ようやくこれから温泉を満喫されるという谷崎さんのお母様と妹さんとお別れし、マッハで身支度を整え、谷崎さんと待ち合わせ場所である、自販機前に直行しました。

今のハートブレイクな私は、お風呂上がりこそ、念入りに床入り前の乙女メンテナンスをしなければならない女心が、完全に打ち砕かれ、何もかも手抜きになっていました。髪を整えることよりも乾かすことが、色気のある浴衣の着方よりも全裸を抜け出すことが、軽く化粧することよりも適当に化粧水を叩き込むことが、何より重要でした。

「ふみよちゃん…ちょ…どうしたの?!」
「今お風呂場で、谷崎さんのお母様と妹さんにお会いしたんですが」

お風呂に入る前より疲れ切って草臥れた私が、自販機前に登場した瞬間、谷崎さんは私の通常よりも派手にひどい風貌にぎょっとしたようで、絶句されていました。しかしこの時の私は、谷崎さんの予想通りのリアクションなんて心底どうでもよく、むしろ大浴場で起こった前代未聞のハプニングを、一部始終ありのままお伝えすることに躍起になっていました。努めて冷静に言うつもりが、半ば叫ぶように吐き出してしまったかもしれません。色々聞きたいこと、言いたいことはありましたが、とりあえずグッと堪えて、事実を述べました。

「ご家族でご旅行だそうです」
「ちょ…マジで???」
「はい、マジです」
「え…ちょ…うわ…マジかよ…」
「はい…」
「俺今日温泉行くって言ってないのに…何で知ってんだよ…」
「偶然っておっしゃってました…」
「本当?偶然?いやでも偶然にしては…」

谷崎さんは本当に困惑しており、言葉を失い、どうしていいかわからないといった状況でした。私はずっと、谷崎さんがご家族に、私との温泉旅行のことを、ご家族に伝えたのだと思っていました。恋人との旅行の話を家族にしてもおかしくはないですし、家族仲が良好な谷崎家では、あり得る話です。しかし、谷崎さんの表情から、谷崎さんがご家族に、旅行の詳細を事前におっしゃったというわけではなさそうでした。ではやはり、本当に奇跡の偶然なのでしょうか。

とりあえず自販機前からお部屋に戻ることになりましたが、 お互いもう、オフモードではいられなくなりました。

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