2017年7月26日水曜日

ラブファンタジーは苦難。その6。


備え付けの浴衣を着た私の姿は、相撲部屋の住人でした。

意味ありげに含みを持たせた仲居さんの微笑みのお陰で、若干テンションが低空飛行になりつつあった私と谷崎さん。とりあえず気持ちを浮上させるべく、非日常的な温泉のムードに浸るため、備え付けの浴衣に袖を通すことにしました。浴衣を羽織りながら館内や温泉街を散歩することで、下がりきったモチベーションを回復できたらいいなと思いましたが…

誰…?

誰って私以外の何者でもないのですが、早速浴衣を羽織った私は、姿見に写った自分の姿を見て即、足元から崩れました。鏡の中にいるデブスは、何故かいつもよりも三割り増し以上にキモく見え、ゲロるレベル。ねえ…浴衣って女っぷりをグッと上げてくれる粋なアイテムじゃないの…?浴衣を羽織った私は、まさに力士。相撲部屋の住民として、貫禄と重みなどをたっぷり蓄えた的な、普段以上に肥えて見えました。これで夕食にちゃんこ鍋を抱えていたら、もう完璧疑いもなく相撲部屋所属の力士です。これでは女性らしさをアピールするどころか、デブスであることを更に際立たせるだけ。加えて浴衣に合わせて束ねたアップスタイルの髪は髷に見えますし、癖のガニ股の所為で、更にデブであることを強調していました。

「ふみよちゃん、いつもと雰囲気違うね。何だろう…」
「り…力士とか…」
「あー…」
「…」
「で、でも、無敵って感じですごいいいよ…」
「…」

こうして力士スタイルの私と、浴衣が超絶お似合いな谷崎さんは、館内や館内周辺の温泉街を、一通り散歩しました。道中商売上手の店員さん方に、試飲試食を何度も何度も勧められ、その度頂き購入してしまったので、私も谷崎さんもお腹がいっぱいになりつつありました。当初は散歩後に軽く飲んでからの夕食、という予定でしたが、ここは一度お腹を休ませようという話になり、お部屋でのんびりする流れになりました。

「あ、せっかくだしお風呂入ろうかな」
「そうですね、大浴場がちょうどオープンしましたし…」

お部屋に露天風呂はあるものの、まず最初は大浴場でしょ…と思っていた私は、何気なく大浴場の話題を出したのですが…

「え、お部屋の露天風呂入らないの?」
「え?」
「え?」
「…」
「…」

私と谷崎さんの間には、沈黙が流れていました。

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