2017年7月23日日曜日

ラブファンタジーは苦難。その5。


温泉デートのメリットに、日頃の疲れを癒せるって書いてあったけど本当?私のHPは既に0よ。

谷崎さんのご好意に応えるために、こっちから全裸になるつもりで正面からぶつかっていこう…と考えていた私は、仲居さんの「長旅お疲れ様でした。ぜひお茶をどうぞ」というお言葉で、我に返りました。気づけば座卓には、仲居さんが丁寧に淹れてくださったお茶とお茶菓子が、用意されていました。お礼を申して着席すると、何故か仲居さんは突然、一人空想の世界で決意表明を固めて冷や汗をかいた私を、「控え目で謙虚な方ですね」と謎に持ち上げてきました。

昔初任給を頂いた時、父と母と私の3人で温泉旅行に行ったのですが、その際「お綺麗なお嬢様をお持ちでお父様はお幸せですね」と、明らかに無理があり過ぎる社交辞令を、顔を引きつらせながら父に言った仲居さんに出会いました。その時の私は、今よりも体重が重く、90Kg付近をウロウロしていた、最強のデブ。毎日バターとか余裕で食べていましたね。誰がこんなバター丸飲み余裕なデブスを、綺麗だと思うでしょうか。当時、仲居さんというお仕事は、こんなデブスにも無理をして社交辞令を言わなければならないお仕事なのかな…と感じましたが、今回も、まさかの無理ある社交辞令を頂きました。

谷崎さんは「そーなんすよ!俺にはもったいなくて…」と仲居さんに合わせてくださっていましたが、いくらポジティブで何でも真に受ける私でも、仲居さんの言葉に偽りがあることくらい、わかります。愛想笑いとお茶を啜ることでやり過ごしましたが、言わなければならない仲居さんも、言われる私も、ヘビーな状況だったと思います。

仲居さんから、一通りの社交辞令と館内の説明を受けた後のことでした。そろそろおいとまされる雰囲気を出された仲居さんが突然、ニヤニヤしながらこうおっしゃったのです。

「大浴場も露天風呂もお食事もぜひ、ご堪能頂ければ幸いです。その後のことも…ね、あまりご無理なさらないように」

一瞬、私が深読みしすぎたのかと思いました。 しかし仲居さんの、憎たらしい程含みを持たせたニヤけ顏が、全てを物語っていました。その瞬間、私と谷崎さんは、飲んでいたお茶で盛大に噎せ、年甲斐もなく動揺。「あら、びっくりさせちゃいましたか?ごめんなさいね〜うふふふふ」とおっしゃって出て行かれた、温泉デートの終着地点を何もかも知り尽くした仲居さんのつり上がった口角は、私と谷崎さんの羞恥心を引き出し、感情を丸焦げにしていきました。

「と…とりあえず、散歩でもする?」
「そうですね…飲み物でも買いましょうか…」

私の背後でスタンバイしている露天風呂は、ガラス越しからでもわかる程、湯気で満ちていました。

ブログランキングに参加しています。応援していただけると嬉しいです。
にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ

  

0 件のコメント: