2017年2月3日金曜日

お母さんは心配症。谷崎さん その29。


初めてだったんだから、今日くらい、ウザいくらいに調子に乗らせてよ。

一人暮らしをされてらっしゃる方であれば、きっとこの、「狂乱した夜を過ごせば過ごす程、真っ暗な家に帰った途端、突然現実が迫ってきて正気に戻る」感覚を、理解して頂けることかと思います。

谷崎さんから乙女心をチョめられて、いつになく狂乱してカーニバル状態で帰宅したものの、玄関越しから、明かりがついていない、暗く静かなリビングを見ると、私は猛烈に我に返り、沸騰していた気持ちが急速に氷点下を叩き出しました。

愛の告白とも取れる谷崎さんのお言葉を、よく考えずに受け取り、つい舞い上がってしまいましたが、ふと冷静になると、そのお言葉を素直に噛み締められない私がいました。

そう、それは全て、アレな感じだからです。

初っ端で、息子のデート現場に突撃してきたかと思えば、突然ケーキを喰らい始めた、谷崎さんのお母様のバイタリティーがチラついて離れないから。息子のデートが心配だからという理由で、デート最中に電話突撃をしてきた谷崎さんのお母様、並びに妹さんのエナジーが、こびりついて拭えないから。なんかちょっと…谷崎さんの背後に迫るご家族に、色々と衝撃を受けてしまいました。

けれどもすぐに私は、自身が今、一刻の猶予も許されない鋭い崖の上で、惨めに踠き、足掻いている36歳であることを、思い出しました。

例えその場の社交辞令だとしても、果たして今後、とうに女盛りを過ぎて枯れている私に、何度も「息子をよろしくね」とお願いしてくださるお母様は、現れるでしょうか。本来であれば門前払されてもおかしくない私に、「兄のことをよろしくお願いしますね」と言ってくださる妹さんが、現れるでしょうか。

そして何より、「ちょ、お母さん」を連発する谷崎さんですが、今後、谷崎さんのように、私の汗を瞬時にカバーとプロテクトをして下さる殿方が、いらっしゃるでしょうか。

ねえふみよ、あなたこの、絶好のチャンスを逃すの…?

と思った瞬間、谷崎さんの真剣なお言葉を「絶好のチャンス」と考えている自分に、鳥肌と虫唾が走りました。デブスの分際で谷崎さんのご好意を、千載一遇の好機と捉えつつあった私は、自己嫌悪で胸に包丁をぶっ刺したくなりました。

谷崎さんはお優しくて素敵で、イケてる殿方だと本当に思っています。イケすぎて肌がこんがり真っ黒なんですから、イモい私とは対極の存在です。だから、こう思うのです。私と谷崎さんは…何か違うのではと。おそらく谷崎さんは、血迷って私を名指ししたのだろうな…、交際に発展しても釣り合わないだろうな…、太陽に弱い私とは相性が合わないだろうな…という思いが、絶えず駆け巡っています。

でも、どす黒い私は、こうも思ってしまうのです。この機会を逃せば、もう永遠に私には、桃色ファンタジーが巡ってこない…かもしれないと。であれば、谷崎さんのことを素敵だと思っているのは事実なのだから、潔くこの流れに身を任せてみてもいいんじゃないの?

そう、思ってしまうのです。

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