2017年1月13日金曜日

お母さんは心配症。谷崎さん その22。


あまりに尋常ではない胸の震えは、救心または命の母を服用すべきか悩ませる程、私を翻弄していました。

どうやら谷崎さんは、こめかみ辺りに人差し指と中指を合わせて、「お願いしゃーす」と言いながら、「ちぃーす」のポーズでチャラめに合図を送らなければ、オーダーできないようです。

今宵も、谷崎流のオーダーポーズを見せてくださった、谷崎さん。正直、谷崎流の「ちぃーす」に私は付いていけず、面食らい、何故だか焦って、謎の汗で脇を湿らす…という心境になってしまいました。しかし私の脇汗は不要だったようで、注文を取りに来てくださった店員さんも、「OKでぇーす」と、谷崎さんにチャラめにちぃーす返し。楽しく談笑されるお二人を眺めていると、徐々に濡れていた脇が、乾いてきた気がしました。

 「マリネ取り分けますねー!あ、空いたグラス貰っちゃっていいすか?」

テーブルにお料理が運ばれてきた途端、谷崎さんはさりげなくそうおっしゃって、私の小皿にマリネを取り分けてくださいました。加えて、空いたグラスやお皿をさっとテーブルの隅に寄せて、それらを下げに来てくださった店員さんをアシスト。

自宅で装着した脇汗パットの位置が、先ほどの脇汗で不安定になってしまい、すっかり脇に気を取られていた私は、出遅れてしまいました。谷崎さんにお料理を取り分けさせてしまうという失態を犯し、大人のレディーとして、お酒の席での模範的な振る舞いが、できませんでした。不甲斐ない気持ちで谷崎さんにお礼を申した後、何とか挽回する機会を伺っていると、谷崎さんは、「学生の頃居酒屋でバイトしてたんで、全然余裕っすよ!今日は俺に任せてください!」と優しくおっしゃってくださいました。

その後も私は、谷崎さんの艶のある巧みな話術や気配り、乙女心を擽る甘い仕草などに、身体の芯を熱くさせられっぱなしでした。

何故こんなに素敵な殿方が、今私の目の前で、僅か二口でビールを飲み干してるの?何故こんなに芳香漂う殿方が、今私の目の前で、イベリコ豚を口に運んでいるの?何故こんなに年中日焼けしているような殿方が、今私の目の前で、ちぃーすのポーズをしているの?

そんなふわふわした想いとお酒のほろ酔いに浮かされた私の恋路は、この後かかってくる一本の電話で、フリーズすることになります。

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