2016年12月9日金曜日

お母さんは心配症。谷崎さん その11。


交際0日どころかまさか初っ端で、姑から、息子と老後を託されることになろうとは、思いもしませんでした。

正直なところ、いくら気掛かりだとはいえ、37歳息子とデブスの逢瀬現場に張り込み、気づけば一緒にケーキを食らっている母親の気持ちは、まるで理解できません。気が早いですが、純白のバージンロードの先に立ちはだかる、鋭利な茨の道の気配を目の当たりにした私は、この場から全力でエスケープしたくて仕方がありませんでした。

とは言え、一応私も熟れたレディーの端くれ。本意ではなくとも、その場をやり過ごす秘技くらい、心得ているつもりです。それ故私的に、ちょいちょい谷崎さんのお母様のアンテナを、グッと引き寄せるテク的なものを、小出しに披露していた自負があります。

つまり大人の嗜みの一環として、谷崎さんのお母様を全力でエスコートさせて頂いておりましたが、まさか私の立ち振る舞いは、老後を安心させてしまう程、谷崎さんのお母様のお心を射止めてしまったということでしょうか。いやそれとも、着々と私を闇へと葬る儀式を遂行されている途中?Spicy Your Mamaのお考えは、皆目見当つきません。

「ちょお母さん!何言ってんだよ!ほんっとすみません!お母さんが変なことばっか言って。お母さん、ふみよさん困ってんだろ」
「あ、ごめんなさいね、困らせて。そうなったらいいなあって思ったから、つい口に出ちゃって」
「お母さん!」
「ふみよさんさえ宜しければ、今後も是非息子に会ってやって下さいね」
「お母さん!!ふみよさん、ほんっとすみません!」
「いえ…私には大変もったいないお言葉です」

何と対応すべきかわからなかったので、咄嗟に出てきた業務用の言葉で切り抜けた私でしたが、谷崎さんのお母様に再度「これからも息子のことよろしくね!」と、公式的なお言葉とミステリアスな微笑みに畳み掛けられて術を失い、ただただ脇から汗を噴出させることしかできませんでした。その後「お母さんがすみません」と焦りながら謝られる谷崎さんが、私の額をテカらせる忌々しい汗に気づかれ、「俺ビオレ持ってるんで、使ってください!メンズのっすけど」と私にメンズ用汗拭きシートをくださるいう、なんともお恥ずかしいやりとりなどがありましたが、無事に谷崎さんwith谷崎さんのお母様との面談は、終了しました。

この後ご家族でお食事に行かれるというご予定のお二人から、お誘いを頂きましたが、次のメンズとの逢瀬が控えていることと、今すぐここからフライアウェイしたかったので、丁重にお断りをしてお別れしました。去り際、「ありがとう」が省略され過ぎて「あっした!」と叫んでいる谷崎さんの横で、谷崎さんのお母様は、「また会いましょうね」とおっしゃいました。失礼がないよう丁寧にお礼を申しましたが、谷崎さんのお母様に圧倒されて、両端の口角が上手く上がりませんでした。

真意か儀式かは不明ですが、谷崎さんのお母様から老後と息子を預けられたということは、要は私はミセス谷崎として認められたということ?このままいけば来年にはバージンロード?白無垢かウェディングドレスを着るかで悩める乙女?新婚旅行はヨーロッパとか行っちゃう感じ?

バラ色花嫁妄想が頭の中で華やいだのも一瞬、ミセスと引き換えに背負うのは、姑の老後だと思うと、複雑な心境でした。

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